おいしいお米の中でも特においしい、新米の季節がやってきました。
炊きたての新米を食べると、それだけで十分にうま味がありますよね。
ところで、新米が店頭に並ぶまでには、約1年に及ぶ農家の努力があります。
ここではお米に興味を持ってもらうため、新米ができるまでにどのような作業が行われているのかを、自営の農業ライターである私が紹介します。
土づくりから田植えまで
米づくりのスケジュールの中で、最初の大きなイベントは田植えです。
しかし、田植えを行うまでに準備しておく作業が数多くあります。
土づくり
米づくりを行うときの基礎となる、土を作る作業です。
冬を越えた田んぼに肥料をまいて、トラクターで耕しながら混ぜていきます。
この時点で表面に近い土はやせている傾向があるので、下の層の土と入れ替える意味合いもあります。
苗づくり
田植えのときに使用する、苗を作る作業です。
うちでは、家の近くにある田んぼの中に、苗床を作って育てています。
水路から直接水を当てることができるので、毎日水をやる手間をはぶくことができます。
苗箱に、消毒をすませた種もみをまいて苗床で管理し、ある程度伸びたところで田植えを行います。
代かき(しろかき)
まずは、固くなった田んぼの表面をトラクターで耕します。
少し間をおいてから田んぼに水を入れて、トラクターでかき混ぜながら田んぼを水平にする代かきという作業を行っています。
代かきは、田んぼの表面をやわらかくし、雑草の発生を抑える大切な作業です。
田植え
田植え機で田んぼの中で、周回や往復を繰り返しながら田植えをしていきます。
機械で植えることができない角地や機械が植えてくれなかった場所に手作業で植え継ぎして終了です。
稲の管理と稲刈り準備
田植え時期に比べると田んぼでの作業は減りますが、それでもやるべきことは多くあります。
水の管理
稲刈りまでは、田んぼの水を調整しながら稲の成長を管理しています。
ただ水を入れておけば良いというものではなく、稲の成長を見ながら細かく調整していくことが必要です。
また水路は、多くの農家が共用していて、なかなか使用する順番が回ってこないこともあります。
草刈り
田んぼの間には、あぜ道があります。
ほおっておくと雑草が伸びて歩きにくくなってしまうので、定期的に草刈りをする必要があります。
雑草が伸びる速さは異常なので、何度も草刈りを行っているのです。
稲刈り準備
稲が出穂(しゅっすい)し、稲穂が黄金色に輝いてくると、稲刈りが近づいているサイン。
稲刈りの少し前に田んぼから水を抜いて乾かすことで、機械での作業がしやすくなります。
稲刈りから玄米になるまで
台風や大雨の季節を乗り越えると、いよいよ実りの秋がやってきます。
とはいえ、稲刈りしたお米がすぐに食べられるというわけではありません。
稲刈り
いよいよ実った稲穂を、コンバインで刈り取っていきます。
田植えと同様で、機械で刈ることができない角地などは、手作業で刈っていきます。
品種によっては稲穂が倒れやすいものもあって、倒れると機械で刈ることはできません。
機械を導入しているとはいえ、手作業で刈る場合も意外と多いのです。
乾燥
稲刈りしたばかりのお米は水分量が高いです。
そのままにしておくと、発酵するお米も出てくるので、乾燥作業を行います。
昔は田んぼではぜ掛けをして天日干ししていました。
お米にとっては天日干しが一番良い環境なのですが、時間もかかってしまうので、うちでは乾燥機を導入しています。
もみすり
収穫したお米から、もみがらを取り除いて玄米にする作業がもみすり。
機械を使って取り除いたもみがらは、田んぼや畑に運んで蒔くことで、田んぼや畑の肥料になるのです。
全ての作業が終わり、玄米として出荷していますが、食べるときには町中のコイン精米機で白米にしていただいています。
ただ、最近は玄米食の方も多いし、精米にも五分や七分引きの機能も付いているので、食べるときにはお好みでどうぞ。
まとめ
2024年夏に起こった令和の米騒動も、秋になり新米が少しずつスーパーなどで見かけるようになってきました。
売られている値段を見ると農家として思うことはあるのですが、おいしいお米を多くの方に、たくさん食べていただきたいです。
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